年金は民間の保険と同様に請求によって受給権が発生する

 老齢年金、障害年金、遺族年金のいずれの年金においても、保険事故(老齢であれば支給開始年齢、障害であれば障害となったとき、遺族であれば対象被保険者の死亡)が発生したからといって自動的に年金が支給開始となるわけではなく、保険事故が発生して後、自ら請求を行う必要があります。

 

 また、年金は保険事故が発生した時点から請求の有無に関係なくその時点から年金の支給を受けることが出来る年金(実際に支給を受けるには請求をして年金受給権を発生させることが必要)と、年金の支給開始自体が請求後に発生する年金があります(請求年金)。

 

 例えば、通常の老齢年金は支給開始年齢に到達するとその時点から支給を受けることが出来る年金であり、例えば、本来60歳から特別支給の老齢厚生年金を受けることが出来る方が61歳時点で請求したとしても60歳時点から年金を受けることが出来るということになります。

 

 これに対して年金の支給開始自体が請求後に発生する年金としては、上記の老齢年金の例でいえば老齢年金の繰上げ請求や繰下げ請求がこれに該当し、例えば65歳支給開始の年金を66歳に繰下げ請求する場合は、65歳からではなく66歳から増額した老齢年金を受けることが出来るということになり、請求時点で年金の支給が開始となります。

 

 なお、請求の有無に関係なくその時点から年金の支給を受けることが出来る年金であっても5年で時効の適用対象となるため、請求せずにそのままにしておくことは自ら債権を放棄していることに等しいこととなるため、請求ができるようになった時点で速やかに請求することが重要であるといえます。