国民年金(老齢基礎年金)の繰下げについての考え方

 老齢基礎年金の繰下げ請求については、最大繰下げたとしても5年が限度であり、それ以上繰下げ待機したとしても増額分に変更はありません。

 

 そのため、65歳到達時に老齢基礎年金の受給権が発生する方は最大で70歳まで繰下げることが出来るということになりますが、仮に68歳時点で老齢基礎年金の受給権が発生する場合は最大繰下げできる期間が72歳までとなることになり、何歳まで老齢基礎年金を繰下げ出来るかはいつ老齢基礎年金の受給権が発生するかにより異なることがあります。

 

 また、仮に65歳到達時に老齢基礎年金の受給権が発生する方が72歳で老齢基礎年金の繰下げ請求をした場合には、70歳到達時点に遡って増額された老齢基礎年金を受給することになります。

 

※この方が仮に65歳に遡及して老齢基礎年金の受給を希望したとしても、繰下げと異なり65歳時点に遡及する場合は2年分の老齢基礎年金が時効にかかることになります

 

 言い換えると、上記の方が76歳時点で老齢基礎年金の繰下げ請求をした場合には、5年分は遡及して増額分の老齢基礎年金を受給できますが、1年分は時効にかかってしまうということになります。

 

 なお、仮に65歳時点で老齢基礎年金の受給権が発生する方が老齢基礎年金の繰下げ請求を希望する場合であっても、別に障害年金や遺族年金の受給権が発生している場合にはその発生時点で内容が以下のようになります。

 

①65歳前に他の年金が発生

 

 この場合には繰下げ請求をすることは出来ません

 

②65歳から66歳到達前時点で他の年金が発生

 

 この方については繰下げ待機中ということになりますが、1年間の繰下げ待機期間が無いため繰下げ請求は出来ず、65歳時点に遡及して老齢基礎年金を受給することになります

 

③66歳以降に他の年金が発生

 

 この方については1年以上の繰下げ待機期間があるということになるので希望すれば繰下げ請求は可能ですが、繰下げ可能なのは他の年金の発生時点までの期間に基づく繰下げ請求となります。

 

 また、繰下げ請求ではなく65歳まで遡及して老齢基礎年金を受給することも可能です。

  

 補足として、遺族厚生年金の受給権が発生する場合、老齢基礎年金の他に老齢厚生年金も繰下げしてしまうと、遺族厚生年金は自分の老齢厚生年金との差額支給となり遺族厚生年金に影響が出るため注意が必要となります。