長期加入者特例とは?

 特別支給の老齢厚生年金については報酬比例部分と定額部分が存在し、生年月日に応じてどのように給付を受けるかが決まっており、定額部分を受給できる生年月日でない場合には報酬比例部分のみ受給することになります。

 

 但し、報酬比例部分のみしか受給出来ない生年月日の方の場合でも、一定の場合に定額部分を合わせて受給することが出来る特例が存在しています。

 

 その一つが長期加入者特例という特例であり、この特例に該当する方の場合には報酬比例部分に加えて定額部分を同時に受給することが出来ることになります。

 

 長期加入者特例に該当するには厚生年金保険を44年以上(528月以上)掛けている方である必要があり、かつ、単一制度だけで厚生年金被保険者期間が44年以上ある必要があります。

 

 言い換えると、一般厚年期間、公務員厚年期間、私学厚年期間の全てを合算して厚生年金被保険者期間が44年となってもこの特例の適用を受けることは出来ませんので注意が必要です。

 

 また、単一制度だけで厚生年金被保険者期間が44年以上あるとしても、長期加入者特例を受けるには厚生年金被保険者資格を喪失する必要があります。

 

 つまり、厚生年金被保険者期間が44年あれば長期加入者特例の該当者ではありますが、実際の適用対象者とはなれないことになります。

 

 また、一度長期加入者特例を受けたからといって、再び65歳前に厚生年金被保険者資格を取得した場合には長期加入者特例の適用対象者から外れることになるため、この点にも注意が必要となります。

 

 なお、長期加入者特例の適用を受ける方に加給年金の対象配偶者が存在する場合には、長期加入者特例による定額部分の受給と同時に加給年金も受給出来る扱いとなっています。

 

 補足として、長期加入者特例では加入月数により特例の該当が明らかなため、退職であれば退職月の翌月から年金額が改定されることになります。

 

※被用者年金一元化より年金額の改定は厚生年金被保険者資格の喪失月の翌月ではなく、退職日の属する月の翌月に改定となります(厚生年金被保険者資格の喪失は退職日の翌日となります)