老齢年金の繰上げ請求における男女での違い

 特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は、男女の生年月日により異なることは既に触れた通りですが、このことは老齢年金の繰上げ請求にも影響を及ぼします。

 

 例えば昭和32年4月1日生まれであれば、男性は62歳支給開始ですが、女性は60歳支給開始となります。

 

 上記の場合に男性と女性が60歳で繰上げ請求をした場合は男性と女性では以下のように異なります。

 

 男性であれば支給開始年齢が62歳ですからまだ特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢に到達していませんので、この場合は老齢厚生年金と老齢基礎年金を同時に繰上げ請求する必要があります。

 

 そのため、老齢厚生年金は2年分繰上げるため12%、老齢基礎年金は5年分繰上げるため30%の減額となり、老齢厚生年金と老齢基礎年金共に減額支給となります。

 

※仮にこの男性が62歳で繰上げ請求する場合は、特別支給の老齢厚生年金の支給開始も62歳ですので、3年分繰上げる老齢基礎年金のみが18%の減額となります

 

 これに対し、女性の場合は支給開始年齢が60歳ですので、60歳に繰上げ請求したとしても既に特別支給の老齢厚生年金部分は支給開始となるため老齢厚生年金部分は減額支給とならず、5年分繰上げる老齢基礎年金のみが30%の減額支給となります。

  

 老齢年金の繰上げ請求をする場合は老齢厚生年金と老齢基礎年金を同時に繰上げしなければならず、一方のみを繰上げ受給するということは出来ないため、繰上げ受給を検討する際は男女の受給開始年齢にも注意をする必要があります。