在職支給停止の対象となる額とは?

 在職支給停止は厚生年金保険法による制度であるため、支給停止となる対象額については老齢年金の全ての額について在職支給停止の対象となるわけではありません。

 

 例えば、特別支給の老齢厚生年金については厚生年金保険法による支給であるため、報酬比例部分と定額部分について両方とも在職支給停止の対象となるのに対し、老齢基礎年金と老齢厚生年金については老齢基礎年金が国民年金法の、老齢厚生年金が厚生年金保険法による支給となり、老齢基礎年金については在職支給停止の対象とはならず全額支給対象になります。

 

 但し、厚生年金保険法における老齢厚生年金についても、実質は老齢基礎年金の性質を持つ経過的加算(差額加算)については在職支給停止の対象とはなりません。

 

 また、特別支給の老齢厚生年金や老齢厚生年金の加算されることがある加給年金も在職支給停止の対象とはならず計算から除外されます。

  

 なお、在職支給停止は厚生年金基金部分がある場合にはその部分も含めて対象となりますが、厚生年金基金部分がどのように扱われるかは基金によって異なることがあり、一律に在職支給停止の対象となるとは限りませんので注意が必要となります。