雇用保険の基本手当と在職支給停止

 雇用保険の被保険者である65歳未満の方が退職した場合には、その被保険者期間と退職理由に応じた日数分の基本手当を受給することが出来ます。

 

※一般的に失業手当といわれるハローワークで受ける手当のことを雇用保険法では基本手当といいます

 

※退職理由による区分とは、退職理由が主として会社に起因する特定受給資格者、特定理由離職者と、定年や自己都合退職である場合でその扱いが異なることになります

 

 但し、雇用保険による基本手当を受給する場合で、その間に受けられる特別支給の老齢厚生年金がある場合には、基本手当を受給する期間において特別支給の老齢厚生年金が全額支給停止となります。

 

 基本手当を受給するか特別支給の老齢厚生年金を受給するかの選択は、ハローワーク(公共職業安定所)に出向いて基本手当の受給契機である求職の申込みを行うかどうかで決まることになります。

 

 言い換えると、雇用保険の基本手当を受給しないことを選択する場合には、ハローワークで求職の申込みを行わないということになります。

 

 現在の特別支給の老齢厚生年金は、生年月日に応じて支給開始年齢が引き上げられているため、平成29年に受給権が発生する方の生年月日においては定額部分が発生せず報酬比例部分のみの受給となることが一般的ですが、長期加入者特例や障害者特例、特定警察職員や特定消防職員、女性で定額部分が発生する方など場合によっては年金額が高額となるケースもあります。

 

 そのため、いずれの給付を受給するかについては、事前に退職時の年金額を年金事務所等で確認した後にハローワークで基本手当額と照らし合わせて決定することが重要であるといえます。

 

 なお、ハローワークで求職の申込みを行った後に基本手当の受給を停止して特別支給の老齢厚生年金再開をすることは原則出来ませんが、今後基本手当の受給を希望せず基本手当の受給をした場合には返納するという申出をすることで支給停止を解除することも場合によっては可能とはなっています。

 

 しかし、上記の手続は例外措置であり、基本的にいずれの給付を受けるかを考慮した後に手続きをされることが望ましいといえます。