障害厚生年金と障害共済年金

 被用者年金が一元化されるまでは共済組合にも障害年金制度は存在していましたが、障害厚生年金ではなく障害共済年金という独自の年金制度により運用がなされていました。

 

 この障害共済年金については障害厚生年金と比べて以下の点で異なっていました。

 

ア.職域加算が存在する

 

 共済組合の場合は厚生年金とは異なり年金支給の場合には在職期間に応じて職域加算が付加されます。なお、一元化以降もこの職域加算制度は廃止されてはおらず、経過的職域加算として存続しています。

 

イ.在職支給停止が存在する

 

 一元化前の障害共済年金を受給する際には在職支給停止の対象となっており、在職している場合は障害共済年金が支給されない場合もありましたが、一元化以降は障害基礎年金・障害厚生年金同様に在職支給停止が行われなくなっています。

 

ウ.保険料納付要件が問われない

 

 一元化前の障害共済年金については、在職していることが条件であり保険料納付要件を問わなかったため、保険料納付要件を満たしていない場合でも障害共済年金のみ受給可能な場合がありました。

 

※一元化前でも障害基礎年金は保険料納付要件が問われるため、2級以上の障害であっても保険料納付要件を満たしていない場合は障害共済年金のみの支給となります

 

 しかし、一元化以降は保険料納付要件が問われることとなったため、在職しているだけでは障害年金を受給することはできないこととなりました。

 

 一元化以降は共済組合制度は厚生年金制度に統合され、基本的に厚生年金制度が踏襲されていますが、共済組合独自の制度が完全に廃止されているわけではありませんので、共済組合制度について理解しておくことは非常に重要であるといえます。