振替加算とは

① 振替加算とは?
⇒振替加算とは、老齢厚生年金または、障害厚生年金加給年金額の算定対象となっていた配偶者が65歳になり老齢基礎年金の受給権を取得した場合、老齢厚生年金または障害厚生年金の受給権者に加算されていた加給年金を、その配偶者が取得した老齢基礎年金の年金額に振替加算として加算されるものです。

振替加算は、退職共済年金や障害共済年金に加給年金が加算されていた場合にも適用され、対象となる配偶者は生計維持関係があることが求められます(事実上婚姻関係にある内縁の配偶者を含む)。

この振替加算の額は受給権者の生年月日に応じて、226,300円(平成24年度)に乗率をかけて求められ、昭和41年4月2日以降生まれの人は加算されないことになっています。

なお、配偶者本人も被保険者期間が20年(中高齢の特例15年~19年)以上あって、老齢厚生年金を受けている人、組合員期間が20年以上あって退職共済年金を受けている人及び旧共済法の退職年金・減額退職年金、恩給などを受けている人は振替加算は行われません。

そして、障害基礎年金、障害厚生年金や障害共済年金を受けられる場合、これらの障害給付を受けられる間は、振替加算が支給停止になります。

※以前も述べましたが、65歳に達した時に合算対象期間のみで25年(昭和5年4月1日以前生まれの人は21年~24年)以上ある人は、老齢基礎年金の受給権が発生したものとみなして振替加算のみの老齢基礎年金を受給できます。この請求は老齢基礎年金と同様に行いますが、基本年金額を有していないため繰り下げ請求をすることは出来ません。

※妻が年長の場合は、65歳以上になった後に、夫の被保険者期間が20年以上(中高齢の特例15年~19年を含みます)の老齢厚生(退職共済)年金の受給権を取得した時や、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給が開始となった時など加給年金の加算事由に該当した場合は、配偶者加給の対象にはならないことになっています。この場合は、夫が加給年金の加算事由に該当した時点で妻の老齢基礎年金の年金額に振替加算が加算されます(夫と妻が逆の場合も同様です)。

② 届出方法

 ⅰ 振替加算に該当する時

 ア 年金請求書と同時の場合
 ⇒請求書に戸籍の謄本・世帯全員の住民票・振替加算対象者の所得証明(いわゆる三点セット)を添
 付します。

 
 イ 年金請求後に配偶者が老齢満了や定額開始した場合
 ⇒‘‘国民年金老齢基礎年金額加算開始事由該当届(様式第222号)’’に上記三点セットを添付し、
 住所地を管轄する年金事務所へ提出します。


 ⅱ 振替加算が不該当となる時または停止となるとき

 ア 振替加算が加算された老齢基礎年金の受給権者が240月以上(離婚時みなし被保険者期間を含
  みます)の老齢厚生年金を受けられるとき

 ⇒振替加算の不該当については日本年金機構が一括して事務処理を行うため届出は不要

 イ 振替加算が加算された老齢基礎年金の受給権者が240月以上(離婚時みなし被保険者期間を含
  みます)の組合員期間の退職共済年金を受けられるとき

 ⇒‘‘国民年金老齢基礎年金加算額不該当届(様式第223号)’’を、住所地を管轄する年金事務所へ
 提出


 ウ 振替加算が加算された老齢基礎年金の受給権者が障害を事由とする年金給付を受けられるとき
 ⇒‘‘国民年金老齢基礎年金加算額支給停止事由該当届(様式第224号)’’を、住所地を管轄する年
 金事務所へ提出


 ⅲ 障害給付を受けているため振替加算が支給停止されていた人が、障害給付を受けられなくなった
  とき

 ⇒‘‘国民年金老齢基礎年金加算額支給停止事由消滅届(様式第225号)’’に年金証書と戸籍の抄本
 を添付し、住所地を管轄する年金事務所へ提出


 ※障害厚生・障害基礎年金が受けられるとき、または受けられなくなったときは日本年金機構が一括
 して処理を行うため、届出は不要になります。


③ 適用の流れ
⇒特別支給の老齢厚生年金から諸変更決定及び老齢基礎年金の新規決定時においては、老齢基礎年金の決定時に加算が行われます。加算開始事由該当届等の提出の場合は、改定処理がなされた後、届出後から概ね2~3ヶ月後に該当月の翌月に遡って支給されます。

 受給権者への通知
⇒年金請求時は、年金証書の加算額欄に記載されます。65歳年金決定や諸変更処理の時は、年金決定通知書・支給額変更通知書で通知されます。

⑤ その他留意事項

 ⅰ 所得証明の必要年度
 ⇒60歳以上65歳未満は繰上げ請求時点、65歳以上は65歳時点になります。

 ⅱ 障害年金加算改善法の施行による取扱い
 ⇒障害年金の受給権者の配偶者は、障害年金の受給権発生日の翌日以後、法施行日(平成23年4月
 1日)の前々日以前までの間に、受給権者と婚姻をし、老齢基礎年金の受給権者かつ加算対象者であ
 る配偶者(昭和21年4月2日以降生まれを除きます)が、法施行日の前日から法施行日まで引き続
 き受給権者によって生計を維持されている場合には、法施行日の前日の翌月すなわち平成23年4月
 から将来に向かって加算されます。


 ※障害年金加算改善法とは?
 ⇒平成23年3月31日までは、障害年金を受ける権利が発生した時点で加算要件を満たす配偶者や
 子が
いる場合に加給年金が加算されていました。これが平成23年4月1日から同法が施行される
 事で、障害年金を受ける権利が発生した後に、結婚や子の出生等により加算要件を満たす場合にも届
 出を行う事により新たに加給年金が
算される事になりましたこのため同法施行後は振替加算の
 要件を満たしている場合は振替加算が行われる事になります(但し、加給年金が
支給されるのは新
 法の障害基礎年金の1級・2級の者、旧法国民年金の1級・2級の障害年金の受給権
者、旧法厚生
 年金保険・船員保険の1級・2級の障害年金の受給権者
で、新法の3級の障害厚生年金の受給権者
 の
場合は加算されません)